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夕闇と僕ら

どうせ君には見つけられないだろうから、僕は尻も隠さず君を待つよ。
例え僕がドラム缶の中で居眠りしようとも、
きっと多分、君は日没までに見つけられないだろう。
だってこんなに遠いんだもの。
僕を探す足音すら聞こえないよ。
ただ、夕闇を知らせる烏が何羽か僕の頭をつつくだけ。

ああ、分かった。
今度は僕が君を探しに行ってあげるから。
そうすればもう、僕は待つことをしなくて済むんだろう?
じゃあ、いいかい?
10まで数えたら、そう、探しにいくよ。
ああ、あまり遠くに行かないでおいてね。
10までだよ。
走らないで隠れて。
暗闇には気をつけて。
奴らはきっと、君みたいにちっぽけな女の子なんて、
いとも簡単に喰らいつくしてしまうよ。
そう、だからなるべく近くに居て。
僕を独りにしないで。

もっと近くに居て。
君の鼓動が夕風に揉まれて掻き消えてしまうから。

必ず僕は君を見つけられる。

どこにいても、ぼくらは一緒。
by haccax | 2004-08-20 06:23 | 飴缶(文)


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