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倶楽部

「それでは、これから倶楽部活動をはじめます」
部長の鈴木尚人が静かに言った。
鈴木尚人というのは、僕だ。
「起立、礼」
副部長の小林瞳が続く。
その言葉に促されて、集まった部員が一斉に起立し礼をする。制服の擦れあう音だけが響く。
締め切った美術室は所々カーテンの隙間から光が零れている。いや、寧ろそこだけ闇が裂けているといった方が正しいかもしれない。漸く闇になれた目で、やっと横長のテーブルと長イスがずらりと教室の前から後ろまで幾つか配置されているのがぼんやりと分かる程だ。備え付けのエアコンは準備室から絵の具のにおいを運んできているらしく、酷い日にはニスや木工用ボンドのにおいまで混じっている。
僕は部員全員が着席する音を聴くと、赤い懐中電灯を付けて手元の名簿を照らした。
上からひとつずつ読み上げ、点呼する。曜日ごとに振り分けされたその名簿には、二重線で消された跡や太い字で書き直された名前が数え切れないほど存在する。僕はそれを、一から読み上げるのだ。

人は、誰しも仮面を被っているものである。

この倶楽部は、その仮面に喰われた生徒たちの謂わば教会のようなものなのだ。
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by haccax | 2006-09-30 15:10 | (倶楽部)

雨傘
叩く粒
心地良い
長袖

肌寒いね
隠せるから
青い血管
不健康な肌
浮いてるよ

受話器から誰かの声
僕の名前すら知らない
ねえ言葉の破壊力
僕は君をいとも簡単に壊せるよ
せめてもの僕のヤサシサ
長くて冷たい沈黙
一方通行の闇

澄んでいた
嫉妬した
手に入れたくなった
言葉をつくった
取り繕った
偽った
君は笑った
手に入れた
つもりになった

ゲームオーバーなら
またリスタートすればよかった
リセットボタンを押そうとした
案外愛着があったみたいだ
愛情のかけらもない玩具
手放したくないだけの我儘
僕は使用済みの所有者

灰汁を取るように
僕の言葉の欠陥を拾った
消えればいいのに
僕のツクリ笑顔を見抜くなんて
消えればいいのに
消えればいいのに
消してしまえばいいのに

僕が黙っているあいだ
君は推測しかできない
消えてしまえばいいのに
悪夢巻き込んだ妄想は毒
すぐには居なくならないよ
残像を残して
消えればいいのに
消えればいいのに
消してしまえばいいのに



ねえ
推測のなかの僕は、まだ元気ですか
君に答えを教えてますか

乾ききった赤眼が
震えながら僕をまだ見てる
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by haccax | 2006-09-01 16:02 | 飴玉(短編)