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UN-KNOWN

ああ、どうか止めてくれ
誰か止めてやれ 出来るなら
どうしても充分すぎるんだ

赤と青と緑の交点 わらう
僕はループから逃げれない 文字を集めて走れ
アン・ノウンが僕を苦しめる

臭いも形も色さえ失いつつある
アン・ノウンが融合している

探せ!

手元にあるものは何だ
あの時、確かに掴んでいたものは
時計の秒針が数百億と時を刻んだ時に
黒鍵の間へ落としてきたらしい

顕微鏡で人類を覗いている
そして地球儀をずっと廻しているんだ
教科書のなかで生きてるのは誰だ
ダイイング・メッセージを拾っていけ

白と黒のスペースシャトルは
水素と酸素を化学反応させて飛び
矛盾する宇宙をおよぐ

紙束に残された記憶と
薄っぺらく擦り潰された風景と
限界を超えたところに未知がある

無いことを知るということは
そこに無いものが在るということ
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by haccax | 2005-11-25 11:00 | 飴玉(短編)

レム

消し忘れたFMラジオの、騒がしいトークで起きた。
寝返りを打ったアタマの鈍くて重い痛みで、すぐに目が醒める。
目の前には灰色のくもの光を反射するカーテンがはためいていて、
何時の間にか肌蹴たシャツから伸ばした右腕が、音を立てて唸る空気を吸って呼吸を始める。
指先で触れた窓ガラスからは向かいの茶色レンガとアパートの窓が並んで、
身を起こして見下ろすと、ガーデンには寒そうにバスケットを抱える灰色の少女がただ独り、
身動きひとつせずに微笑みながら、肩にスズメをとまらせ突っ立っている。
体温がうつったブランケットと羽根布団を奇麗にたたんで、床が軋まないように指先をとがらせ、
誰も起こさないように出来るだけ慎重にゆっくりと歩く。
バッテリーの切れた時計は秒針をピタリと四十五秒で止め、動かない空は太陽を隠して、
時間を刻むものが無い部屋で、僕は静かに脈を打つ。
まだ眠りから醒めない家で、片目の仔ウサギが僕に気付いて新聞紙を踏み鳴らした。
薄暗いカーテンは光のボリュームをデタラメに弄り、冷たく響く氷の割れるおとが、僕の胸を溶かす。

暗がりで眼を光らせているのは誰だと、夢の中で叫んだことさえも忘れようとしていた。
左腕に誰かがブチ撒けた赤いペンキの正体さえも、ナースは答えようとしなかった。
真っ白い、カーテンと担架と声が近づいてきて、僕の唇を押さえつけていた。
ビデオテープの走査線で荒れる画像の中で、荒い息を抑えて、酸素を吸った。
それでも息が苦しくて起きた、そこは病室じゃなくて生暖かいカラフルなベッドだった。
吸いすぎた空気は僕の唇と喉を乾かして、開かれない眼の端からは塩の道が続いていた。
記憶というトラウマの中で生きているんだ、僕は。
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by haccax | 2005-11-24 21:00 | 飴玉(短編)

ホスピタル

目覚めたときは、視界がまっしろで、目が開いているのかすら解からなかった。
シロのなかに柔らかい灰色のカゲをみつけて、それがカーテンだと気付いたのは
ハタハタと頼りなく波打っているのを確認してからだった。
誰かの静かなおちついた声と、耳障りな機械音が、まざりながら反響していた。
それは病院の女性アナウンスとお会計カウンターの呼び出し音で、
病室の一角で、どうやら僕は醒めたらしい。
身を起こそうと上半身にチカラを込めて、そのチカラがどこかへ飽和していった。
動けない。
正確には動かないほうがいいらしい。
身体が悲鳴を上げる。
眼だけを動かすと、右手首に細長いチューブが繋がっていて、
その先に透明なパックが吊られていた。
ぽと、ぽと、滴って、チューブをゆっくりと通る。
まさに蛇口から滴る水道水だった。

そういう夢をなんどか繰り返し見た。
とても心地よくて溜息が出た。
目の前のざわめきが、本体から切り離されて響いた。
言語を理解できなければタダの音の繋がり、
僕を苦しめる思考回路の束。

心臓は深い呼吸のなかで、確かに脈打っている。

飽和しよう、空気に。
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by haccax | 2005-11-12 09:52 | 飴玉(短編)