<   2005年 09月 ( 5 )   > この月の画像一覧

スケール

ヒップホップとパンクロックが騒ぐ
教室のバックグラウンド
無造作に山積みされたキャンバス
僕の名前をぬきだす

絵の具のかたまったパレットに
ぬるい水道水を汲んで
中身の入っているチューブ
何色にも関わらず搾り出す

真っ白にかためられた長方形
蛍光灯のようなムラのない純白
汚れた毛並みのブラシで
カラフルな水溜りを撫でる

吸い込まれそうなコントラスト
眠っている色が動き出す

瞼を閉じて見える黒
一色だけでは物足りない
触れてみれば冷たくて
指先から白の波紋が広がる

奇麗なのは白一色でなく
澄み切ったオイルのような黒
[PR]
by haccax | 2005-09-24 07:48 | 飴玉(短編)

DELETE

本当に消えたいのなら
本当に何も考えなければいいんだよ
僕のいう言葉さえも理解できないような
一歩ごとに踏み潰される蟻になればいい
「消えたい」なんて
ヒステリックに叫ぶなよ
蠢いてる貪欲なイキモノを見て反吐が出る

手に持った剃刀で
どうするっていうの
誰かに見てもらいたいのか
可哀想だと憐れんでほしいのか

手に持ったカタカナの錠剤は
ただの気休め薬
信じ込んで飲んでればいい
ほんの一瞬の現実逃避
目が醒めれば副作用

戻ってきたくなくたって
お医者様と看護婦さんが
善意でお迎えにくるさ

死んだって
データに残るだろ

お望みどおり
「消えた」ことにはなんねえんだよ

産まれたその時点から
記録は始まってんだ
「それなら産まれなきゃよかった」なんて
母さんに失礼どころか
僕らに選択権なんかあるわけがないんだから

生きるのに必死で
殺虫剤のにおいのなか散々飛び続けて
終いにはバスルームで
ルームシューズ片手の母さんに
叩き潰されたハエの気持ちも思ってみろよ
ハエにゃそんなもん考える脳も余裕もねえだろ

そんな糞下らないことを考えられるような
相当ヒマしてる脳に
感謝するべきじゃないの
[PR]
by haccax | 2005-09-17 07:40 | 飴缶(文)

授業

可哀想なアリ
黒板の桟
あるいてる

溝に足を
すべらせながら
黒板の黒より黒く

大きなアゴは
クワガタみたいに動いてる
その小さな身体は
脳みそのカケラもなく
にぶく黒光り
銀色の桟
あるいてる

その目には何が映る
ぼやけた僕か
噛んだガムの塊か
白黒の世界

見上げても
空を見ることはない
地球儀のなか
生きている

あわく白い天井と
蛍光灯が
お前を照らしている

僕の前の子が
お前に気付いて
すこし壁から離れた
それから
チョークが凶器
その小さな身体には
文字は書けなかった

絡まった脚
銀色の桟
こするだけ
[PR]
by haccax | 2005-09-16 07:57 | 飴玉(短編)

Church-goer

横目で通り過ぎようとしてた
クリーム色の壁と淡いミドリの屋根
変哲をさがそうとしてもムダで
正面玄関のステップに胡坐をかいて
他愛もない世間話に笑顔を絶やさずに
グローブを握った手をすり抜けたテニスボールが
五度目のノックをする時にドアが開いて
静かな男性の声が響くと同時にそのスキマに滑り込んだ
中は思ったよりも薄暗くって広くって
一番最初に僕の目を奪ったのは正面のステンドグラス
丸く切り取られたなかで細かく仕切られた色模様が
サイドに並んで立ち尽くしているガラスに彩られた住人が
外の夕日のヒカリを吸い込んで緩く吐き出していた
等間隔に整列している長イスに座るヒトは誰も後ろを向かず
ただ前に置かれた燃え続ける蝋燭を見て呆然としている男性
静かに眠るように目を閉じて両手を組んで寄り添う老夫婦
ボタンを押せば灯がともるキャンドルの前で聖書を読む主婦
その近くで意味も解らずにガラス戸の向こうの僕に手を伸ばす子供
仕切られた空間は冷房が強くって誰も時計や携帯を見ず
自分まで見えず身体は動きをやめ脳と思考だけは忙しく絡み合って
止まった人形のなかで妄想の世界へと引き込ませる魅惑
そしてまたコネクトしに歩いて戻ってくるんだ絶対に
音のない箱庭に。
[PR]
by haccax | 2005-09-09 03:16 | 飴缶(文)

聞きたくないな
それ以上

両耳を押さえた手
少し緩めてた

最初から何も望んじゃいない

君の代わりに生けた花を
ただひたすら
掻き集めては
枯らせて

夕暮れに
天道見てた花弁
気紛れか
此方に向けて

残念ながら
其れまで偽者

狂った双眼鏡
もう四年間も
焦点はブレたままで
[PR]
by haccax | 2005-09-01 03:33 | 飴玉(短編)