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ねえ
抉ってあげようか
僕の この手でさ
君の 二つのレンズをね
もうそうやって 何度も
品定めするように
艶めいた視線を向けて
僕をくりかえし 撫で回すの
やめてくれないか

まだ 誰にも喋っちゃイケナイんだ
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by haccax | 2005-07-29 15:33 | 飴玉(短編)

セールス

「もしもし」

「ハイ」

「××さんのお宅ですか。」

「そうですけれど。」

「××会社の××と申しますけれど、」

「ハイ」

「お母さんいらっしゃいますか。」

「おりませんけれども。」


「この世にいらっしゃいますか。」

「おりませんけれども。」

「失礼致しました。」

「それでは。」
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by haccax | 2005-07-29 15:29 | 飴玉(短編)

書きかけのメールを

自分は、入れ物の中に「ハッカ」という人格を持っていて、
表から見えている「私」は木偶の坊みたいなモンなんだと思う。

薄っぺらい言葉を重ねて塗りたくって、それを盾代わりにしてる。
本体自体も、自分の意思で動こうとしているんだけれど、
結局ハッカの一部なんだ。内部から本体をコントロールしてる。
色を塗り替える。嘘で塗り固める。本体の僕が笑う。

痛みは、共有してない。私は筋肉が疲れるだけで痛くはない。
嘘が崩されるだけで、嘘は痛くない。自分を守るために吐いた嘘だけだから。
でも、その嘘の隙間からハッカが流れ出てる。
薄っぺらいんだよ、見えてる部分の私は。
嘘をつかないでいると、そのうち流れ出たハッカが本体を飲み込んでしまう。
私を消しにくる。
その前に、沸点を迎えて、思考を止めなきゃいけない。

書いてて、どっちが外でどっちが内か更に分からなくなってきた。
ハッカに気付かなければ、嘘吐いてることを再認識しなければ、
「本当に私は笑ってる」ってことに、なったのにな。
そしたら君は、僕の何もかも知らなくて済んだのに。
君のイメージの中でちゃんと、上手に笑っていられたのにな。

いつだって私は必死で、そのときに僕は冷静だ。
それを見て、笑ってたんだろ。
同じ教室にいるときも、電車のなかで目の前に立っていた時も、醜かっただろ。
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by haccax | 2005-07-26 18:50 | 飴玉(短編)

ケツエキケンサ


予防接種だけだと思ってたら
母が電話で血液検査を追加した
注射は小さい頃からよく打っていたし
病院によく通っていたので見慣れていた

出来るだけ針を取り付けるところを見ないようにして
先生の後ろにおいてあるダンボールと睨めっこ
「s2259済み」?
よくわからない表示まで数秒で覚えて厭きた

ハイじゃあ腕出してねえ 利き手の反対ね
左腕を差し出して 裏を向けると
手首の傷がよく見えた
なにかいわれないか、って顔色うかがって
血圧を測って ひじ裏の太い血管に針を差し込んで
抜いたあとの注射器には どす黒く腐ったワインが大量

左手首に黄色く残ってる痕

それを見てる 生きた僕
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by haccax | 2005-07-22 17:28 | 飴玉(短編)

僕は、この眼にうつるもの総てを見ていて、
それでいて、何も見えてなくって。
誰かがそういう風な眼をしていたのも、
それさえも、僕は見失っていた。
遠くからじっと動かずに見ていて、
それなのに、裏切られる瞬間が快感で。

誰かがどういう風に笑ったのかも忘れて、
ただ壊したい衝動に駆られて、
撫でるように切り裂くように、眼を見た。
そこには黒い海が広がっていて、
差し込んだ光や像すら貪欲に飲み込む。
それはただの黒ではなくって、
汚れて浮いた油のような色をしている。

その誰かが誰でもなく、
また僕さえ僕でなくって、
ただ漠然と見えているものは存在しなくって、
そこに何もないを見ていて、
また何もないを聴いていて、
誰かこそが僕であることに、
気付くことが出来たのだろう。
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by haccax | 2005-07-21 13:03 | 飴玉(短編)