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me

誰かのために 笑顔を貼った。

優しさのために 嘘を吐いた。

逃げるために 約束をした。

素顔のために 仮面をかぶった。

他人のなかに 自分を創った。
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by haccax | 2004-12-22 20:04

スコール

分かるはずもないだろ?

俺は冷たい瓶の奥底で、
ずっと冷たい膝を抱えて座っていて。
机の上にはサランラップに包まれた冷凍食品があって。
じっとガラス越しに見つめてる。

たまに通りかかった女が、
街角のショーウィンドウでも見るように眺めていっては
厭きれた子供がぬいぐるみを放り出すように立ち去ってゆく。

スーツケースを引きずって歩いてくるスーツの男は、
能面みたいな顔の一部、目だけをぐるりと動かして
冷たい好奇心をちらりと見せつけてから過ぎてゆく。

真っ黒い服に身を包んだ黒髪の長い少女は、
黒い爪でガラス瓶を引っ掻いて虚ろな眼を向けてしゃがむ。
瓶には指でなぞって何か描いてあったけれど、
裏から見る俺には文字か絵かすらも検討がつかない。

顔を蒼白にしてエプロンをつけたまま走り過ぎようとした母親は、
操り人形の糸が切れたかのように瞬間で頭をこちらに向けた。
涙を枯らした瞳は、兎のように真っ赤に充血させていた。
チェックのスカートからのぞく膝小僧は震え、擦り切れていたが、また走り過ぎてゆく。

また、誰かが瓶のくちから叫んでいる。
空から降ってくる言葉は、雨のように俺を撃ち抜いてゆく。
顔を上げても、黒い、どろっとした影しか見えない。
赤い口から吐かれる、灰色のことばの雨。


「綺麗なままで、死ねればいいな」

誰かが、呟いていった。
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by haccax | 2004-12-12 18:03 | (EMPTY)

ORDER MADE

もっと、違った色をください。

 - 白で、よろしいですか。

目にみえる身体のカタチをください。

 -    で、よろしいですか。

名前をください。

 -    で、よろしいですか。


―― 足したり、割ったり、引いたり、掛けたり、実に色々な体験をしました。
僕は     のために、僕によって     で、作られました。
確か、に     は、なにも証拠はないのだけれど、
     だから、   作られたのだけど、          。



欠陥商品(できそこない)
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by haccax | 2004-12-09 18:00 | (灰色の国)

無気力シンドローム

僕がここまで無気力になったのは、今日がはじめてなんかじゃない。
それについて僕自身どうも思わないし、どうにかしようとも思わない。
パターン化されたような、そんな単純なものではないことは確かだけれど。

男が必死にこいでいる自転車の後ろに女が背中合わせにチャリで二人乗りしていて
僕の前をゆらゆら不安定に通り過ぎていった時に、ふと女と顔が合ったとしても。
頬の筋肉は、まったく動こうとしない。

バス停で泣き腫らした瞼を伏せて、ちらちらと揺れるクリスマスのイルミネーションも
眩しく並ぶ街灯もライトアップされた街路樹も、涙で滲みボケてしまう女と目が合ったとしても。
目を伏せ、対向車線側の洒落たブティックのショーウィンドウを眺めるふりをするだけ。

両手を生暖かいポケットに、視線は斜め前へ。
口許は黒いマフラーで隠し、通学カバンは背中を何度もノックする。

懐炉は分厚いコートの中で炎のように熱を放ち、血の気が失せた青白い指先を溶かしている。

だから、どうということはない。
根拠もなければ、結論もない。

ただ過ぎていくのだと、思う。
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by haccax | 2004-12-09 17:56 | (EMPTY)