カテゴリ:(庭園物語)( 4 )

庭園物語(4)

僕のお庭には、
名も知らぬ綺麗な花が咲きました。
大抵それは大樹の根元で群生していたのであまり見栄えは良くなく、
すぐに庭師さんが引っこ抜いてしまうので、
いつもそこには無残に土の掘り返された跡ができました。
僕はそれを目にする度に大層痛々しく思いましたが、
いつもその花が咲いたのを見届けた次の朝には、
一片こぼした花びらさえも綺麗さっぱり姿を消されているので、
辺りはただ見栄え悪く芝生が掘り返されているだけで、
大変詰まらないものでありました。
[PR]
by haccax | 2006-08-01 10:09 | (庭園物語)

庭園物語(3)

僕のお庭には、
時たま庭師さんがいらっしゃいました。
曜日ごとに女性の方であったり年配の方であったりしたので、
それは真に多様な方々がそれぞれに思い思いお庭を弄っていらっしゃいました。
大半は若い男性の方が日替わりで訪問なさったので、
必ずお母様がスリッパを鳴らして玄関までお出迎えなさり、
お二人でお庭のウッドデッキに腰掛けてキングサリを指でつまむ仕草などは、
表しようもなく愛らしく幼い様子だったのだけれど、
いつも決まってお母様は外側から家の鍵をしめて出て行かれるので、
僕はその男性の手に触れているキングサリの匂いもよく知らないまま、
やはり窓の内側からぼうっと眺めているだけで、
大変詰まらないものでありました。
[PR]
by haccax | 2006-07-31 12:59 | (庭園物語)

庭園物語(2)

僕のお庭には、
それは大層生き生きとした草原が見事に広がっておりました。
何度か僕のお友達が僕の家へお遊びにいらっしゃったのですが、
みなさん口を揃えて素晴らしい、とか美しいと仰いました。
僕はその時だけ少し嬉しい顔をするのですが、
本当は一面の原っぱは緑色がただ続いているだけで、
大変詰まらないものでありました。
[PR]
by haccax | 2006-07-29 01:02 | (庭園物語)

庭園物語(1)

僕のお庭には、
それは色々な種類の草木が生えておりました。
けれども僕は何ともなく硝子窓の内側から眺めているだけでして、
カチコチという振り子時計の音だけが響いて、
変わったことといえば、
毎日お天道さまとお月さまが交互に顔を出すだけで、
大変詰まらないものでありました。
[PR]
by haccax | 2006-07-28 14:09 | (庭園物語)