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Act 001: あの子の飴は、白の飴

色んな場所で、色んな人に出会うたびに、色んな発見をする。
それは色とりどりに詰めこまれた飴の缶カラのようで、
瞳は虹色に輝いて興味本位の塊と一緒に、僕はその中へとダイヴする。

Act 001 「あの子の飴は、白の飴」

早速出会った女の子は、強がってばっかりの少女で、
いつも心の隠れ家の隅っこで声を殺して涙を零しては、
その透明な水滴を缶カラに溜めて仕舞いこんでいた。
自分の透明さに気付かないままの彼女は、
他の色に濁りたがって、染まりたがって
試行錯誤してみるものの、結局何も変われていなくて
でも確実に汚れ、くすんできているのを薄々感じていた。
それを繰り返しているうちに、彼女の缶の中は
すっかり、カラカラに乾いてしまっていて
気付けば沢山の言葉の束が色とりどりに煌いていたんだ。
そのことに、早く気付いて。

他の誰かに木っ端微塵、粉々に砕かれてしまう前に。

吐き出した溜息と一緒に溶かされて消えてしまう前に。
by haccax | 2004-09-13 13:22 | 飴缶(文)


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